2017.5.31 佐々木祐太

浅草橋おもてなしグルメレポート第一弾「スマイルタイランド」

スタッフ

 

はじめまして。ヂヤンテイシステムサービス企画営業部の佐々木と申します。

 

入社して3カ月、浅草橋在住5年、台東区在住35年の私が、弊社の地元且つ私の地元でもある、ものづくりの町・浅草橋の魅力をさらに引き立てる「食の名店」を紹介させていただく企画「浅草橋おもてなしグルメレポート」をスタートいたします。

 

いくら美味しくても、接客態度やお店の雰囲気が悪ければ、気持ちも凹んでしまいます。美味しいだけでなく、料理や店の雰囲気からおもてなしの心が伝わってくる名店を紹介していきたいと思います。

 

今回はその第一弾として、JR浅草橋駅西口徒歩30秒!のタイレストラン「スマイルタイランド」を紹介させていただきます。

 

食べ物の中で一番美味しいかも

小学生の時にクアラルンプールで食べたタイ人が作るタイカレーを食べて以来、タイ料理の虜になっている私ですが、浅草橋の「スマイルタイランド」は別格で、何度食べても「思っていたよりも美味しい!」といつも新鮮な気持ちで驚かされています。

 

友人にタイ料理のオススメのお店を聞かれれば、必ずこの「スマイルタイランド」を挙げているのですが、中でもグルメな友人がこの写真の「トードマンクン(海老のすり身揚げ)」を食べた時、「今まで、食べて来た食べ物の中で、一番美味しいかも知れない。とにかく美味しい」と絶賛してくれました。

 

トードマンクン

 

さらに「スマイルタイランド」をオススメしたい理由は、美味しいだけではなく、その笑顔の接客で心まで満足させてくれるところにあります。その美味しさと笑顔の秘密に迫ってみたいと思います。

 

本当に美味しいタイ料理を食べたい。

今回は、「スマイルタイランド」の管理・運営会社である株式会社AOPEN代表取締役社長の三原将典さんにお話しをお伺いいたしました。

 

開店したのは、2015年7月。およそ2年前。現在、お昼時は常に超満員、平日にも関わらず夜も大勢のお客様で賑わっている「スマイルタイランド」ですが、開店に至る経緯をお伺いしました。

 

社長の三原さんは、かつて自動車部品の商社でタイ支社長をされていたそうです。タイに通って3年間。暮らして1年。そんな中どっぷりとタイにハマってしまい、帰国後もハマった理由の一つであるタイの美味しい料理を日本で探し求めたのですが、なかなか納得のいく料理と出会えなかったそうです。

 

プーニムパッポンカリー(ソフトシェルクラブと玉子のカレー※下記写真)が大好きだった三原社長は、タイに10店舗くらいあるプーニムパッポンカリー専門店に通っていたそうです。帰国した後、日本でも美味しいプーニムパッポンカリーは無いかと5年くらい探し回って、ようやくタイの名店を超える味に出会ったのが、現チーフシェフのブンクソン・プティデチェドさんの作るプーニムパッポンカリーでした。

 

プーニムパッポン

殻ごと食べられるソフトシェルクラブをサックサクに揚げた上からふんわり卵とシャキシャキ野菜のカレーがかかっている。

 

タイの人の夢を応援したい

余りの美味しさに三原社長はシェフと話しがしたくなり、様々な話をされたそうです。また、時期を同じくして別のレストランでテキパキと笑顔で働く現店長のミーナリン・アヌソンさんの一生懸命働く姿に心を打たれ、また話をされたそうです。この二人と話しをする中で聞き出した共通の二人の夢は「自分の店を持ちたい」ということでした。

 

店長とシェフ

店長のミーナリン・アヌソンさんとチーフシェフのブンクソン・プティデチェドさん

 

その話を受けて、一気に「スマイルタイランド」の実現に向けて動き始めました。三原社長は飲食店を経営していたわけでもなく、前職でもまるで違うお仕事をしていました。そして、レストランを開きたいという気持ちがあったわけでも無かったそうです。

 

三原社長は強い口調で言いました。「タイの人の夢を応援したい。これが全てです。」

 

タイに恩返しをしたい

三原社長がそうした思いに至った理由は、タイで支社長をしていた時にありました。会社はバンコクから離れたところにあり、日本人は自分一人、日本語を話せる人はもちろん、英語を話す人もいないという状況で、大変な苦労があったと思いますが、そんな中、タイの人々が献身的なサポートをしてくれたそうです。

 

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厳しい状況の中、救ってくれたタイの人々に、いつか恩返しをしたいという思いは、この時からずっとあり、「タイの人の夢を応援して実現させることで、タイに恩返しすること」が三原社長の夢になったそうです。

 

写真は撮らないでください

店長をはじめ、スタッフ、ガラス越しで調理するシェフに至るまで100パーセントの笑顔で挨拶してくれるので、運営会社として、さぞ厳しい指導をされているのだろうと、その事を社長に聞いてみたところ。「そんなことしたら、みんな辞めてしまう。」とのことでした。

 

キッチン

 

ではなぜ、こんな素敵な接客が出来るのか。この秘訣は、私が三原社長の写真を撮ろうとした時に分かりました。「私の写真は撮らないでください。日本人は裏方でどうでも良いんです。タイの人たちが主役ですから。」

 

「スタッフみんなが、自分たちのお店だと思っているから、モチベーションが違うんです。前向きにどんどん改善している。お店を任せているんです。」なるほど、この社長の経営に関するこの姿勢が、スタッフの一生懸命に働く姿に繋がっているということが、ようやく分かりました。

 

もう一つのモチベーション

スタッフの皆さんの笑顔、一生懸命に働く姿勢の理由はそれだけではありませんでした。どういう目的・理由でタイの人たちが日本で働いているのかについて聞いてみました。「出稼ぎです。」うすうす分かってはいたものの、あまりの単刀直入さに少し戸惑ってしまいました。

 

色んな国の中から日本を選んでいるのだからもしかしたら、「日本が好きで、日本の文化にも興味があって」みたいなこともあるのかも知れないと思っていた私の甘えた考えが恥ずかしくなりました。そういう風に考えているタイの人がいたとしても、そんなことは二の次三の次なのだと思いました。

 

国民の95パーセントが仏教徒のタイの人にとって、「お年寄りを敬う」という考え方は特に強く、「若い人がお父さんお母さん、お爺さんお婆さんの面倒をみる」ということが当たり前で、「お爺さんお婆さんのためにでっかい家を建てる。」それが、日本で働いている多くのタイの人の夢なのだそうです。

 

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日本で働いている間、自分のためにお金は使わず、ほとんど仕送りするだけとのことで、身の引き締まる思いがするとともに、タイのスタッフの皆さんから学ぶべきことがたくさんあるということも強く感じました。

 

どうしてこんなに美味しいのか

もちろん、タイで10年以上修行を積んだ後、日本の有名ホテルなどで16年間活躍したベテランシェフであるブンクソンさんの腕が素晴らしいことは間違いありません。けれど、常に料理から素材の良さ、新鮮さ、スパイス・ハーブのフレッシュな香りが際立つこの美味しさの秘訣について、何か他に理由が無いか聞いてみました。

 

「他店と比べて、特別に素材が良いということはありません。」三原社長は謙虚に言います。「強いて言えば、料理になるまでに、ひと手間ふた手間多くかけて仕込みをしていることだと思います。」自分たちのお店であるという意識で高いモチベーションの中、スタッフみんなが協力して手間を惜しまず仕込みをしているところにも美味しさの秘訣があったようです。

 

ゲーンクア・サッパロット(海老のパイナップルカレー)

ゲーンクア・サッパロット(海老のパイナップルカレー)。パイナップルの酸味・甘味と濃厚なレッドカレーが想像を超えるマッチング。

 

トードマンクン(海老のすり身揚げ)にしても、多くのお店では冷凍のすり身を揚げるものを、揚げる直前にすり身にすることで、サクサクの衣から、はち切れそうな海老のプリプリな食感と香ばしさが生まれたり、上記写真のゲーンクア・サッパロット(海老のパイナップルカレー)も、煮込む直前にその都度パイナップルのカットをしたり。手間を惜しまない料理に対する姿勢が「スマイルタイランドの味」を作っているのでした。

 

お客様のことは考えていません

料理の美味しさ、そして笑顔の秘訣が分かったところで、お客様に何か伝えたいことはありますかとお聞きしたところ、「お客様の事は考えていません。タイの人たちの事だけを考えています。」

 

三原社長は続けます。「タイの人たちの夢を実現するために、タイの人の雇用を安定して増やしていくということが目的なんです。」「お客様に喜んでもらえるお店になったのはたまたま、運が良かった。」

 

外観

入口にも中にもタイの田舎で作られた手作りの工芸品が飾られており、タイのムードでいっぱいになっています。

 

三原社長のお人柄からの謙虚な発言だと思いますが、飲食店経営においてお客様の事を考えていないというのは、元商社マンだから出来る斬新な考え方だと思う一方で、実は重要な経営哲学にシンクロしていることに気づきました。

 

「社員を幸せに出来ない会社は、お客様も幸せに出来ない」この言葉は経営について学ぶと必ず出てくる経営哲学ですが、三原社長の経営はまさしくこの哲学に合致しているのだと思いました。

 

スタッフを幸せにして、そのスタッフが私たちを幸せにするという好循環が「スマイルタイランド」にはありました。

 

オススメ料理は

「浅草橋おもてなしグルメレポート」と銘打ちながら、料理がどういう風に美味しいとか、○○産の素材と○○ソースのマリアージュが、とかそういうことを全然書かずにこの記事の第一弾が終わろうとしいますが、せっかくなので少々オススメ料理の紹介をいたします。

 

ファイアブンクソン

 

上のファイヤー写真をご覧ください。スタンダード中のスタンダードであるパッ・パッブン(空芯菜炒め)を炒めているところですが、ガラス越しのカウンターのお客様にチーフシェフが驚かせちゃってごめんなさいをしているところです。

 

お茶目なチーフシェフのブンクソンさんが作る料理は全て美味しいのですが、この火力で一瞬にして火を入れるしゃっきしゃきの炒め物はどれも絶品です。

 

また、タイ料理には欠かせないゲーンキャオワーン(グリーンカレー)ですが、スマイルタイランドでは他ではなかなか味わうことのできないアボカドと海老のゲーンキャオワーンが楽しめます。

 

ココナッツのマイルドでクリーミーなスープにアボカドがより一層コクを与え、その中からグリーン系のハーブ・青唐辛子のフレッシュな刺激が顔を出し、さらに海老のプリプリの食感も楽しめる。タイ料理の醍醐味が味わえる一品です。

 

ゲーンキャオワーン

 

その他、ガパオガイ(鶏肉のバジル炒めご飯)の圧倒的な香ばしさ、トムヤムクンヌードルのエビのうま味と風味がふんだんに練り込まれたマイルドでコク深いスープなど、スタンダードであればあるほど、他店との違いを味わっていただけると思います。

 

とにかく、「スマイルタイランド」には50回以上足を運んでいますが、一つとして「そんなに美味しくない」と思った料理はありません。安心して足をお運びください。

 

最後に

グルメサイトのようなレポートは出来なかったと思いますが、日本人経営者の熱い想いと、タイの人たちの一生懸命さのハーモニーが生んだ「おもてなしのお店」が浅草橋にあるということが、少しでもお伝え出来たらと思っております。

 

また、三原社長は「タイの人たちを応援する」第二、第三の戦略も考えているようです。これからの株式会社AOPENからも目が離せません。

 

もし、行ってみて「美味しくない」ということでしたら、ヂヤンテイシステムサービスの佐々木までご連絡ください。もちろん、本業のWEB、印刷物の企画制作のご依頼もお待ちしております。(03-3865-9851)