こんにちは。ヂヤンテイシステムサービス代表の小澤です。
この間のことですが、昨年出版の本だったので、都内の大型書店に行けば見つかるものと考え、本を買いに行ったのですが、在庫がなく悔しい思いをしました。
その大型書店では、初版が5・6年前の本でも、伝えればたいていは見つけ出してくれたので、私からするとほしい本を手に入れる最も早い方法でした。
見つからなかった本は、ネット書店で在庫があるのを知っていながら、あえて本屋さんに買いに行きました。それは即座に入手できることと、街の本屋さんがなくなってほしくないからです。
そこで、街の本屋さんの在庫が調べられないものか、今ならそれくらいの情報はあるだろうと調べたことがこの記事のきっかけになりました。
以前発見していた図書館蔵書検索サイトとつながり、いつの間にか本を探すWEBの旅になってしまいました。
実は以前にも、リアル書店の在庫が検索できないものかと調べてみたことがあったのですが、三省堂書店くらいしか目ぼしいものがなく、案外不便なものだと感じました。
今回あらためて調べてみるところ、ありました。ありました。
日本全国1,400店舗の書店在庫、6,100箇所の図書館の蔵書を調べることができると説明書きがあります。図書館の蔵書検索サービスは知っていましたが、書店の在庫が検索できるというのは、かなり画期的なことではないかと思いました。
探したい地域からも検索できます。しかも書店の在庫だけでなく、図書館の蔵書からも探すことができ、スマホアプリもあるため、GPSで今いる場所から探すこともできてしまいます。
たとえば東京駅で検索すれば、その付近のほしい本の在庫を置いている書店と図書館を探すことができるということです。住所、電話番号、地図まで表示してくれるのでとても便利です。
アプリと同期しておけば、自宅のPCで探した本が履歴として残るため、メモ代わりになります。本屋さんで、街角で、この間見つけた本はなんだっけ?とスマホで確認ができます。
これがあれば、在庫の状況を確認した上でリアル書店に行くことができるので、時間の無駄がなくなります。ほしい本を見つけたら、最も素早く本を手に入れることができる。それがこのサイトだと思います。
電車の中でスマホで本の紹介記事を読み、降りた駅の本屋さんでその本を購入する。そんなことも可能となりますね。
上記の『Takestock』サービスは、街の本屋さんだけではなく、図書館の蔵書の中からも本を探すことができます。図書館検索部分は、『カーリル』のAPIを利用しているのですが、『カーリル』は少し前に見つけていたサイトでした。
『カーリル』は日本最大の図書館検索サイトです。
2013年12月5日現在、公共図書館: 4925館 大学図書館: 1330館 専門図書館: 213館、合計6,468もの図書館の蔵書を検索でき、Amazon等の書誌データベースを同時に検索できます。
基本的に図書館の本を探すサイトながら、amazonのカスタマーレビューもこのサイトの中で表示されていて、amazonページで本の購入もできますし、この後に紹介する本を探すサイトとはほとんど連携しています。
このサイトを知ったことで、私は図書館を見直すようになりました。本屋さんにどうしても在庫がない本は、図書館ならある可能性があります。
カーリルは図書館の本を探すだけのサイトではなく、「図書館を利用しよう!」という意志が様々なサービスを通してひしひしと伝わってくるサイトです。API群を開発者向けに無償で提供していることからも、その意志が伝わってきます。
この図書館APIを基に開発されたアプリがいくつも登場していますし、未来の図書館を作るのはあなた!」ということで、「カーリルAPIコンテスト」なんてものまで開催しています。
図書館の本棚から、インターネットの情報につなげる「カーリルタッチ」というプロジェクトも興味津々です。また、サイトのデザインがとても親近感がわき、ついついサイト画面を紹介したくなってしまいます。
とても公共性の高い仕事であり、『カーリル』の今後の活動は注目に値します。
本を探す、雑誌でも新聞でも発行物や記事を探すといったら、何と言っても国立国会図書館です。若い頃、国立国会図書館には日本国内で発行されたすべての出版物が揃っていると知り、とても驚いたものです。
その当時から、蔵書のマイクロフィルム化は始まっていましたが、国立国会図書館の本を探す場合、今はどうなっているのか国立国会図書館のサイトを訪ねてみたところ、ありました。ありました。
「国立国会図書館サーチ」(NDL Search)というものが。2012年1月6日に正式サービスとなったとあるので、かなり最近始まったサービスのようです。
と書いてあり、このサイトもやはり、『カーリル』も技術協力しているようです。
国立国会図書館なので雑誌記事も検索でき、何か調べものがあり、どうしても情報が見当たらない時は、とても頼りになる存在になるではなないでしょうか。
国立国会図書館を調べているうちに、国立国会図書館法というものを知りました。この法律が、国内全ての官公庁、団体と個人に出版物を国立国会図書館に納本することを義務付けているようです。
前文にある設立理念です。
wikipediaにはその解釈が紹介されています。
知る自由が健全な民主社会を育む礎となるのだという考え、素晴らしいと思います。
『国立国会図書館サーチ』で本を探すと、「CiNii Booksで探す」というメニューがでてきます。何だろうと調べてみると、論文情報ナビゲータ[サイニィ]という名称らしく、「図書・雑誌などの学術情報で検索できるデータベース・サービス」とあります。
どうやら大学図書館の蔵書や学術雑誌の記事などのデータベースのようで、国立情報学研究所というところが運営しています。
その国立情報学研究所が、もう1つ運営している本の検索サービスが『Webcat Plus』です。日本で入手可能な書籍すべての書誌情報集約を目指して活動しているそうです。そして、なんと日英940万冊の書籍情報を連想検索できます。
以下、長くなりますが、サイトに掲載されている説明です。
この『Webcat Plus』もまたまた、『カーリル』が技術協力しているようで、本の検索の共同作業のような連携を徐々に理解するようになってきました。
本を検索するという意味では、最高のサービスがここにある。私はそう感じました。おもしろいのは、「連想検索」という検索方法があるところです。
本のタイトルや著者からでなく、自分が必要とする知識から本を見つけ出す上でこれほど頼りになる存在はないかもしれません。
他のサイト同様「一致検索」もあり、本のタイトルや著者をキーワードに探してくれますが、出版年で絞ったり、出版年の新しい順に検索できたります。
更にユニークなのは「連想×書棚」です。検索したものを自分の書棚のように保管ができ、カテゴリーで分けた書棚にある本からさらに、「この書棚とつながる本」ということで連想検索ができるようです。
すべての検索方法が、動画を使って説明されているのも他にはないサービスです。「連想×書棚で広がる本の世界」というコピーも興味を掻き立てられますね。
『Webcat Plus』で検索した本は、外部サイトを使いそのまま検索することで、その本を入手する行動につながっていきます。その外部サイトの1つが『e読書.jp』です。
『e読書.jp』は、紙の本と電子書籍を一緒に探せる、国内最大の検索サービスです。「e読書」の意味は、すべての本が紙でも電子でも読める時代の読書のことだそうです。
誰もが「e読書」を楽しめる国になることが、新しく生き生きとした文化の創出に繋がると信じています。
こんなフレーズが書かれていると、このサイトを応援したくなりますね。NPO法人連想出版という組織が運営しているようなのですが、住所を見ると「国立情報学研究所内」とあるので、みんな連携しているのだなと分かります。
とてもシンプルな作りで、本を検索すると、本の表紙画像がついたリストが並び、そこからすぐに代表的なネット書店を通して注文するか、本の情報(書誌情報)を参照するかを選べます。書誌情報ボタンをから『Webcat Plus』のサイトにリンクされています。
左側に絞り込み検索のメニューが表示されるため、電子書籍で探したり、著者、出版社、出版年で探すことが容易です。電子書籍しかない本だって今ならあり、紙の本と電子書籍を一緒に探せるのは確かに便利かもしれません。
またタイトルをクリックすると、国立国会図書館へのリンクと、「電子化リクエスト」というボタンがあります。絶版している本、入手困難な本はこのボタンを使ってリクエストすれば、出版デジタル機構を通じて出版社に連絡がいき、優先的に電子化を進めてくれるようです。これも大きな特徴ですね。
ちなみに、「電子化リクエスト」ボタンを押しても、件数表示がでるだけなので、自分の情報はこのサイトに通知されませんのでご安心ください。
ネット書店につながるところに、最初に紹介させていただいたリアル書店の在庫を検索できる『Takestock』も入れてくれると更に良いなあと思いました。
『e読書.jp』で探した本は『amazon.co.jp』などの代表的なネット書店でそのまま購入できるようになっていますが、その購入サイトとして紹介されている1つに『Books.or.jp』というサイトがあります。
このサイトの説明もまたすごいです。
Booksとは国内で発行され、現在入手可能な書籍を収録する書籍検索サイトです。
日本書籍出版協会が運営していて、各出版社から提供される書籍情報を、「データベース日本書籍総目録」 に蓄積しており、その中から入手可能な既刊分を検索できるようです。
今年の10月にリニューアルしたばかりですが、1997年スタートなので、日本でインターネットが普及しだした頃に既に始まっていたことになります。
本の表紙画像がでてこないため寂しいのですが、日本書籍出版協会だけあって、出版社のサイトにそのまま飛ぶことができ、本の内容を調べたり出版社から購入できたりします。
BooksLinkという名前になっていますが、ざっと検索してみたところ、全ての本が、該当する出版社のホームページとつながっている訳ではないようです。
『e読書.jp』同様、代表的なネット書店とも連携しているので、利用しているネット書店からそのまま購入できます。
そして『e読書.jp』同様、ネット書店につながるところに、最初に紹介させていただいたリアル書店の在庫を検索できる『Takestock』も入れてくれると更に良いなあと思いました。
こうなってくると本の取次で有名な日版や東販にも、サービスがあるのではないか?そんな想像をしてしまうのですが、ありました。ありました。
『e読書.jp』『Books.or.jp』で本を探した時に、連携しているオンライン書店の中にある『e-hon』が東販によるものでした。
東販ならではのサービスは、このキャッチが示す通り「本、雑誌、CD・DVDをお近くの本屋さんに送料無料でお届け!」です。
出版社と全国の書店を取り次ぐのが東販なのですから、近くの本屋さんで引き取りなら送料無料。支払いは引き取りの時で良いので、クレジットカードの登録が不要なのがいいですね。
東販からすれば購入が確定した本を他の本と一緒に、指定の本屋さんに届けるだけであり、購入者からすれば目的の本を近くの本屋さんに取り置きしておいてもらうようなイメージになるのではないでしょうか?
他のネット書店のように、宅配もあり宅配支払もできるようで、1,500円(税込)以上購入の場合は、送料無料となるようです。
本屋さんに行くと、平積みされた本に、お薦めメッセージがついたPOPがあったりします。私はそれを信じて購入してしまうことも多いのですが、それをこのサイトの中で紹介しているページがありました。「本のソムリエ」というページです。
せっかく街の本屋さんから情報提供してもらっているのだから、手書きのPOPをそのままスキャン画像にして掲載してくれるともっと良いのになあと思いました。
インターネットは便利です。インターネットがあればどんなことでも調べることができるように感じてしまうこともありますが、本を読むと、やはり読書は良い。インターネットから得ることができる知識なんて表面的なんだと感じてしまいます。
WEB上には記号が溢れています。断片的な知識と言っても良いのかもしれません。記号と記号を結び付け文脈を作りだし意味を導き出すことをWEB上でするのであれば、体系的な本を読んでしまう方が早いと私は感じます。
インターネットの出現によって、読書の時間が減少したという統計もあるようなのですが、情報量が増えれば増えるほど「意味」とか「本質」が重要視され、また本に回帰するようなこともあるのでないかとも想像できます。または本とWEBの融合でしょうか。
今月はじめに国会で成立した「特定秘密保護法」。国民の「知る権利」が侵害される恐れがあるとの議論も湧きあがっていましたが、充分な議論もないままに成立してしまったことにとても不安を感じたのは私だけではないと思います。
今回、本を探すことをテーマにしたのは、「特定秘密保護法」に対するこんな不安があったからです。国立国会図書館のところで触れました。
「図書館が公平に資料を提供してゆくことで、国民に知る自由を保障し、健全な民主社会を育む礎となっていかねばならない」
本当にそう思います。どんな法律が施行されようが、人間の自由な知的活動は止められない。だからこそ本を探す旅にでようではないかということでした。