印刷・WEB・ITで、
お客様の「伝えたい」をデザインする会社、
ヂヤンテイシステムサービスの小澤です。
第33回全日本DM大賞の
受賞者が決定しました。
全日本DM大賞は、
過去一年間に企業から実際に発送された
DM(ダイレクトメール)を全国から募り、
優れた作品を表彰する賞です。
印刷物の中でも、DMにスポットライトを
あてる、ユニークな賞と言えますが、
主催しているのは、日本郵便株式会社なので、
郵便物になる、印刷メディアの
表彰ということになります。
このブログでも書きましたが、
DMはターゲティングメディアなのです。
何度かに分けて、このブログでも
WEBマーケティング全盛時代に、
DMがターゲティングメディアとして
見直されていることを紹介してきました。
デジタルの限界を補うものとして、
アナログメディアとしてのDM活用情報が、
このところ増えてきているのは事実です。
今回の全日本DM大賞の結果を見ると、
その傾向を反映するものと
なっていることが分かります。
入賞作品は、以下で確認できます。
中でも、グランプリに選ばれた作品が
象徴的でした。
グランプリ作品について、詳細が、
以下の記事に紹介されていましたので、
この記事の内容から、
現在のDMマーケティング活用について
検証していきたいと思います。
グランプリ作品は、ディノス・セシールの
最新テクノロジーで自動化へ!パーソナライズされた情報が欲しいタイミングで届くDM
第1弾と第2弾とがあります。
ディノス・セシールといえば、
通信販売ですね。
テレビ・カタログ通販で有名でしたが、
近頃はECサイトも何かと話題です。
第1弾のDMは、なんと、
カート落ちした商品を自動的に掲載し、
最短24時間以内に発送されるDMの
ようなのです。
カート落ちした商品とは、
ショッピングサイトで、ユーザーが
カートまで入れたにも関わらず、
最終的に購入しなかった商品です。
一度はカートに入れた商品なので、
購買意欲は、他の商品に比べると
高いことは明らかです。
売る側かすれば、販売促進に
つなげやすい商品だと言えます。
ZOZOTOWNでは、ユーザーが
カートにアクセスした時に、
前回カート落ちした商品を掲載したり、
関連商品の情報をメールで配信することで
購入率を上げているようなのです。
これは、
MA(マーケティングオートメーション)の
具体例として紹介されている話なのですが、
WEBマーケティングの世界では、
こういうことあり得るだろうなと
想像できます。
しかし、WEBから飛び出して、
DMにして送る。
そこまでやるのかあ、という驚きでした。
共通掲載項目はあるにしても、
完全に一人ひとり違う内容のDMを作って、
24時間以内に送っている。
この記事でも紹介しましたが、
アナログ(DM)と組み合わせると
反応率がアップするのでしょうね。
先ほどの記事を読む限り、
「カート落ちメール」とあるので、
メールも送っていることが分かります。
しかし、こんなDMが届いたら、
不信感をいだく方もいるでしょう。
それを配慮して、
“あくまでオススメ商品をお伝えしている”
というテイストのDMにしているようです。
重視しているのは、24時間以内の発送、
すなわちタイミングですね。
郵便は割引制度を利用しなければ、
今では翌日、エリアによっては翌々日には
届くので、
購入意欲が高いタイミングで
手元に届けることができます。
この施策の結果、
DMを送らなかった顧客群と
比べてコンバージョン率が
約20%アップしたそうです。
第2弾の方は、「小冊子DM」だそうです。
購入履歴から類似したコーディネート
をInstagramの一般投稿から抽出し、
カタログ仕様にした小冊子DMの
ようです。
ファッションAI「#CBK scnnr」を
活用しているということなのですが、
「#CBK scnnr(カブキスキャナー)」
については、別途調べてみるつもりです。
AIを使って、顧客が購入した商品と
類似したアイテムを着こなす写真を
Instagramから探して、オススメとして
カタログにしているようなのです。
これこそ、完全に一人ひとり違う内容の
「小冊子DM」を作って、発送している
ということですね。
One to Oneマーケティングって、
ここまでやるのかあと、思いました。
しかし、大変なことのようで、
MAとAIと、バリアブル印刷で、
自動化された制作現場が目に浮かびます。
この「小冊子DM」施策の結果は、
こうあります。
カタログに対するロイヤリティが上がりづらいWEBの顧客層のレスポンスが約10%アップするという成果を収めた。二次元コードで誘導したウェブページで紹介しているDM掲載以外の商品購入も増加した
DM大賞の紹介をしていたのですが、
テクノロジーの話が大半でしたね。
DM大賞の入賞作品って、以前は、
カタチや作りを工夫したもの、
驚きを呼ぶギミックなどが
評価されていたイメージでした。
今では、マーケティング施策の中の
位置づけが評価されているようで、
DM大賞の役割として、今後はこういう
方向になっていくものと予想できます。
デジタルのおかげで、
アナログメディアであるDMの
潜在能力が引き出されている
ということであり、
審査員長を務めた、早稲田大学の
恩藏直人教授は、こうコメントしています。
「グランプリ作品は、テクノロジーによってデジタルとアナログが見事に融合されており、一見するだけではわからない戦略や工夫が素晴らしい作品でした。今後は直接的には見えない戦略やテクノロジーがさらに進化していくでしょう。」
この教授、先ほど紹介した
MA×DM×メールの実証実験の記事で、
鈴木睦夫さんと一緒に研究
されている方でした。
この先生の仰るとおり、
デジタルとアナログの融合が、
これかれのテーマだと、私も思っています。
マーケティングの世界では、
アナログの代表選手はDMでしょうね。
今回のDM大賞の結果からも
それが、明らかになりましたね。
御社でもDMを有効活用しませんか?