2014.9.26 yamada

Illustrator版 完全データへの道 vol.6 透明効果 part.1ぼかし

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こんにちは。プリプレス部の山田です。
前回から少し間が開いてしまいましたが、データ作成初級編がひとまず終了ということで、今回から中級編スタートです。

 

ところで皆さん、透明効果は使っていますか?

 

便利な透明効果、使っている人も多いのではないでしょうか。
影、ぼかしを付ければ立体感が。
不透明度を調節すれば簡単にクリアな表現が。

 

デザインの幅を広げてくれる一つとして透明効果は有効な手段の一つです。
ですがこの透明効果、実は印刷側から見ると少し厄介なものだったりします。
便利だからと言って多用し過ぎると問題が……!?

今回はそんな透明効果の中から「ぼかし」について。

 

ラスタライズ効果設定1 〜ぼかしの解像度〜

ラスタライズ効果設定とは……
を、説明する前にイラストレータで作成したこの画像を見て下さい。

 

ぼかし1

 

何かがおかしいと思いませんか?

 

ではおかしな部分を拡大してみましょう。

 

ぼかし2

 

どうでしょう。
おかしな部分、わかりましたか?

 

そう、ぼかしの部分だけ妙にピクセルが目立ってガビガビしていますよね。
ヂャンテイくんもひまわりの画像もきれいなのに、なぜかぼかしの部分だけが粗くなってしまっています。

 

なぜこんな事が起こるのでしょうか。

 

ここで「効果」→「ドキュメントのライスタライズ効果設定」を開いてみましょう。
現在の設定は解像度が72dpiになっていますね。
これを360dpiに変えてみます。

 

ぼかし設定1

 

すると、さっきまで粗かったぼかしの密度が増し、綺麗なものに変わりました。

 

ぼかし3

 

ここまで来たらラスタライズ効果設定がどんなものかもうわかっていただけたかと思います。

 

ラスタライズ効果設定とは、解像度を設定して、効果による見え方を設定するものなのです。
解像度が低ければその分、ぼかしの見え方も粗くなってきます。

 

❏ぼかしの見え方を整える

 

ラスタライズ効果設定を調節した事により、ぼかしの解像度は上がり綺麗になりました。
しかし、最初のぼけ足に比べやや固い見え方になってしまっています。

 

ぼかし4

 

解像度はきれいな方が良いけれども、ぼけ足は最初の方が良かった。

 

そんな時はぼかしの設定を変えてみましょう。

 

「ウィンドウ」から「アピアランス」を表示させ、ぼかし効果を使っているオブジェクトを選ぶと、アピアランスに「ぼかし」項目が表示されます。(※ぼかし(ガウス)で作成している場合)
それをダブルクリックすると、「ぼかし」ウィンドウが開き、ぼかし幅を変更する事が出来ます。

 

現在ぼかしの半径は2.0pixelですが、72dpiの解像度を5倍の360dpiに変更したので、半径も5倍の10.0pixelに変更します。

 

ぼかし設定2

 

ぼけ幅を変更する事でやわらかい見た目のぼかしに変わりました。

 

ぼかし5

 

72dpiの時のぼかしと比べてもこの通り。
ぼけ幅は変わらず、綺麗なぼけ足になりました。
解像度を変更したら、その分ぼけ幅を変更する事で変更前と後とで見え方を統一させる事が出来ます。

 

ぼかし6

 

check基本設定から解像度を変更しよう。

 

ラスタライズ効果設定で解像度を変更出来る事はわかりましたが、毎回ぼかしを使う度に変更するのは面倒ですよね。
そんな場合は新規ドキュメントを作成する前に詳細設定を変更すると楽に解像度が設定できます。

 

新規作成(command+N)で新規ドキュメントボックスを表示させます。
何も設定していない場合は詳細のラスタライズ効果設定の部分が『スクリーン(72dpi)』になっています。

 

ぼかし設定3

 

ここを高解像度(300dpi)に変更します。

 

ぼかし設定4

 

先ほどラスタライズ効果設定を直した時はわかりやすいよう72dpiを5倍にした360dpiに変更しましたが、印刷には300dpiもあれば十分です。
ここを一度変更し、新規ドキュメントを作成すると、次からはこの情報が残っているので自動的に解像度が300dpiになり、度々ラスタライズ効果設定を変更する必要がなくなります。

 

ぼかしと同じく「ドロップシャドウ」や「光彩(内・外)」もラスタライズ効果設定の影響を受けます。
なので、なにかしら効果を使用する時は解像度を上げる、もしくは始めから高い解像度で作業するのが安全です。

 

ラスタライズ効果設定2 〜ぼかしのぼけ幅〜

下の図は左の丸いオブジェクトにぼかし(ガウス)半径80.0pixelを適用させたものです。
ぼけ足が切れて四角くなっているのがわかります。

 

ぼかし円1

 

なぜこんな事が起こるのか、ラスタライズ効果設定を見てみると、

 

ぼかし設定5

 

オプションの項目に「オブジェクトの周囲に[5mm]追加」というものがあります。
この数値がぼけ幅の範囲になります。

 

この数値を10mmに変えてみると以下のように綺麗なぼけ足になりました。

 

ぼかし円2

 

ぼかし(ガウス)ではオブジェクとの外側に向けてぼけていくので、ぼかしの数値が高いほど外にぼけ足が広がっていきます。
この時、元となるオブジェクトから何mmまでぼかしを加えるかという設定が短いと、設定範囲外のぼけ足は切れてしまいます。

 

ちなみに……
「効果」→「ラスタライズ」→「ぼかし」のぼかしはオブジェクトの内側の範囲でぼかしが適用されるのでこの部分の数値は特に関係ないようです。

 

ぼかし円3

 

まとめ

・ぼかしを使用した時、ぼけ足のピクセルが目立った時は「効果」→「ラスタライズ効果設定」で解像度を(高解像度300〜360dpiあれば十分)に変更。

 

・ぼけ幅が変わってしまうのが嫌な人は、ぼかしの半径を解像度を上げた分拡大する。

 

・新規ドキュメントを作成する前に解像度を変更しておくと作業中解像度の心配をする必要がない。

 

・ぼけ足が不自然に切れてしまう場合は「ラスタライズ効果設定」で「オブジェクト周囲に[〜mm]追加」の数値を変更する。

 

◉注意点

 

ドロップシャドウは影の位置やサイズを手軽に設定・変更刷る事が出来ますが、Illustratorのバージョンによって位置情報等が異なるので、作成データのバージョンを変更する時には注意が必要です。
安易にバージョンを変更してしまうと、いつの間にか影の付き方が変わっているかもしれません。

 

また、ドロップシャドウ以外のぼかしや光彩などでも、バージョンダウンした場合は何らかの変化が起こっている可能性があります。(※特にCS2以降のバージョンは注意が必要)
バージョンダウンをしなければいけない時は十分に注意してください。

 

Illustrator自体、解像度を必要としないドローソフトなのでついつい解像度の存在を忘れがちです。
解像度の変更は簡単なものなので、少しでも粗いな、と感じたら確認・変更を行う事をオススメします。
あらかじめ解像度に気をつけて綺麗な印刷物を目指しましょう。

 
 

次回→「オーバープリント」

 

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