2014.4.23 yamada

Illustrator版 完全データへの道 vol.2 仕上り罫

yamada.blog_2

お久しぶりです、プリプレス部の山田です。

 

気がつけば完全データへの道vol.1を投稿してからかなりの時間が経ってしまいました。
前回は『vol.1 トンボ・塗り足しを付けよう』でした。

 

今回は『仕上り罫』について。
印刷には関係がないから……と、見逃していたら失敗してしまった!
そんな事にならない様、安全なデータを作成しましょう。

2.仕上り罫の入れ方

仕上り罫とは……

『仕上り罫』とは読んでそのままの通り、印刷サイズや印刷範囲を示す線です。
お菓子のパッケージなどの箱物や、用紙の角を角丸にしたり、穴を開けるなどの加工があるものは、トムソン型(素材を打ち抜く加工をする為の型。ベニヤ板や樹脂版に抜き型と同じ形をした鋼の刃物を埋め込んだもの)を使って加工するので、木型と同じ寸法・形をした仕上がり罫(又はトムソン罫)が入ります。

 

印刷後どのような加工をするかによって印刷範囲が変わってくるので、印刷に適したデザインや塗り足しを作る目安となります。

 

tom1_小

 

仕上り罫の形は、印刷の形によって様々ですが、共通して言えることはただ一つ。
印刷時、仕上り罫は出力しないという事です。

 

出力しない部品なので絶対に作らなければならない、という事はありません。
ただ、複雑な形の印刷物や、データを作る上で必要な場合、レイアウト内に組み込むしかないですよね。
でもここで仕上り罫を適当に入れていると、間違って印刷されてしまう可能性があります。

 

一般的な形なら出力側もおかしい事に気付くかもしれませんが、物によってはデザインなのか仕上り罫なのか判断しにくい場合もあります。
出力側が仕上り罫だと気付かず出力してしまったら……そんな事になったら一大事ですよね。
そういった失敗のないデータを作る必要があります。

 

仕上り罫・トムソンで失敗しないデータ作り

皆さんにまず認識して欲しいのは『仕上り罫は出力しない線』という事です。
印刷所によっては「仕上り罫は入れないで下さい。」と予め注意しているところもあります。
編集を行うデータなら仕上り罫が入っていると便利ですが、完全データとして印刷所に入稿するのであればもう必要ないですよね。

 

編集の必要がなければ、仕上り罫のレイヤーを隠すか、消すかした上で入稿データを作りましょう。
check仕上り罫が必要な場合
しかし、場合によっては仕上り罫を含めた状態で作成、または入稿をしなければならない時もあるかもしれません。
そんな時は以下の方法で仕上り罫を作成しましょう。

 

1.仕上り罫はレイアウトとは別のレイヤーに作る。
一つはトンボと同じ理由から。
デザインを動かしている時、うっかり仕上り罫まで動かしてしまったら寸法が変わってしまいます。
レイヤーを分け、ロックをかけましょう。

 

もう一つは隠す・消すといった作業がしやすい事。出力しないデータなので、隠す・消すが簡単に出来ると非常に便利です。

 

2.スポットカラー、もしくはレイアウトに含まれていない色で作る。
刷版を作成するまでに不要な色をデータ上で取り除く事が出来ます。
そのため出力データ内に仕上り罫が残っていても、デザインに問題がなければ仕上り罫を外して出力出来ます。

 

4色データならスポットカラーを使用。スミ単色ならマゼンタやシアンを使うなど印刷物に支障がない色を使いましょう。(白はNG)

 

3.必ず「線にオーバープリント」にチェックを入れる。
2で不要な色を除く事が出来ると書きましたが、オーバープリントにチェックを入れていないと、仕上り罫の下は白抜きになってしまいます。
白抜きになってしまったら結局印刷物に仕上り罫が出てきてしまうので、確実にオーバープリントのチェックを付けましょう。
(※2、3は発注先の印刷所の作業・判断によるので必ずではありません。
仕上り罫はどのようにして入稿しなければならないのかしっかりと確認を捕りましょう。)

 

tom2_小

補足ですが仕上り罫はトンボと同じく0.1mm(0.3pt)位の方がレイアウトデザインの邪魔にならないかと。
太すぎると、仕上り罫の下でデザインが途切れているのに気がつかない……なんて失敗も起こってしまいます。

 

仕上り罫について

この作り方が絶対!!
……とは一概には言えません。

 

印刷の過程でオーバープリントを無効化することも出来るので、どんな印刷所でもこの作り方なら大丈夫。という事はありえないのです。

 

何度も繰り返しになりますが『仕上り罫は印刷しない線』です。
印刷所によってデータの扱い方も変わります。
データを作っている最中は単なる目安かもしれませんが、印刷する場合はエラーのもとになる危険性を伴ってきます。

 

間違って印刷されてしまう事がないように、十分に注意してデータを作成しましょう。

 

次は「アウトラインをとろう」です→

 

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