こんにちは。ヂヤンテイシステムサービス代表の小澤です。
個人的な知り合いから、35,000部のフライヤーの仕事依頼がありました。良い機会なので印刷通販サイトの価格を調べてみることにしました。
印刷通販は小ロットの印刷物がやたら安いイメージがあり、大ロットになると実は高いという時代がかつてありました。しかし、それから何年も経っているので今はどうなっているか知りたかったのです。
結論としては、今は大ロットでも印刷通販は安いところは安い。今回2つ折りという加工があったのですが、加工費がやたらと安いところはなく、さすがに製本・加工だけは守られているのだと安心しました。
本来33,000部のA4の両面カラーのフライヤーの案件だったのですが、2つ折りの加工もあったので、どんな価格になるのか興味がありました。
少し調べただけで、価格表の表示に33,000部がない印刷通販が多いことが分かり、条件を統一するために、35,000部として調べました。価格も全て配送費まで含めた税込価格で統一しました。
そのため、印刷通販の価格を調べた印刷物の仕様は以下です。
化粧裁(けしょうだち)というのは、印刷後に四方を断裁することで、印刷通販では加工なしという表現にしているところも多くあります。2つ折り加工がなかった場合のことですが、加工の有る無しの価格比較ができるので、併記することにしました。
主に「印刷通販徹底比較」サイトに掲載されている印刷通販を調べました。
そうであれば、このサイトだけで金額が分かるではないかと言われそうなのですが、各サイトの価格と整合性がないケースもあり、正確な価格を知るためには各サイトを訪問する必要がありました。
また、今回は2つ折り加工が条件だったのですが、このサイトでは加工を含む検索はできないようです。印刷はなかなか一筋縄ではいきません。
同条件で比較しなければ意味がないため、今回の条件の価格表記がないサイトは省かせてもらいました。納期のみが対応していないケースや、加工費が不明のサイトもありました。
価格比較調査だけをしたのですが、同業者としてそれぞれの印刷通販サイトを訪問してみた感想も付記しておきました。会社の背景も知りたかったので、主宰されている会社もできるだけ調べてみました。
印刷通販といえばまずはココ。結論を先に言ってしまうと、キャンペーン価格であればここが一番安かったことになります。問い合わせしたところ、キャンペーン期間は随時延期されるという微妙な返事をいただきました。加工費が印刷料金検索の流れの中になかったので、若干不便さを感じました。初めて知ったのですが、前身は製版業、進洋社という会社だそうです。製版の説明は省きますが、印刷の前工程をやっていた会社が印刷を始めたことになります。京都の2工場だけでなく東京の新木場、高崎、北九州に工場があるようです。
プリントパック同様、CMでおなじみのラクスル。後発ながら急成長でプリントパックの最大のライバルとして君臨しているのではないでしょうか。通常価格でここが一番安く、印刷機を持たない印刷エージェンシーにもかかわらずこのような価格が出せるのはとても素晴らしいと思います。しかしながらどこで印刷しているか不明のため、発送日までは分かっても到着日は様々であると書いてあり、正確な納期をお客様に伝言できないのは、同業者からすると大きな欠点かなと思いました。
こちらも有名な印刷通販であり京都の会社です。電話で問い合わせできないので、不便だなと思ったのですが、メールで問い合わせをしたら瞬時に返信がきました。フライヤーの現在の価格は9月30日までのキャンペーン価格ということで、通常料金を掲載しました。安さで勝負というより、デザインサポートや修正サービスなどもあり、サービス全体を通して品質で勝負という印象をサイトから受けました。
調べてみると、我々もかつてフィルムの出力等でお世話になった株式会社帆風が2011年に設立した会社が主宰するサイトでした。価格に辿り着くまでにクリックする回数が多く、正確な金額を調べることができているのか不安を覚えました。この後に紹介する同じく株式会社帆風が始めた印刷通販サイトとどう棲み分けをするのか注目です。
「印刷通販徹底比較」サイトには掲載されていませんが、株式会社帆風を調べたことで、今年帆風さんも印刷通販を始めていたことが分りました。新しいだけあって、デザインも使い勝手もとても良いと思います。価格を調べるにはここが一番分かりやすく早いかもしれません。フリーダイヤルの他、画面を見ながらチャットで問い合わせができるところがユニークだと思います。
東京都江東区にある東京堂印刷さんがやっている印刷通販です。印刷工場が明記されていて全て都内にある工場なので、弊社からすると安心感の高い印刷通販と言えます。金額も調べやすい上、発送日が明記されているところも安心です。配送もクロネコか佐川の指定ができ、エリアごとの到着日まで調べることができます。
株式会社五色という会社が運営する印刷通販です。WEB上の情報では、ラクスル同様の印刷エージェンシーとして印刷通販を運営されているように見えます。帆風さんの他、この後紹介するプリントネットさんも関係会社となっており、ラクスルパートナーでもあるので、ネットワークを駆使して納品するサービスだと想像できます。
株式会社新晃社の印刷通販。印刷工場を持つ印刷会社の印刷通販なので、アルプスPPS、プリントコンシェル同様に我々からすると安心感があります。印刷用紙を国産のものに限定していたり、紙の目を選択できる、見積書を発行できるなど、同業者からの注文を意識した配慮がされていることが分ります。
鹿児島県で活版印刷会社として創業した会社のようです。工場は山梨県上野原市にもあるようで、東京からの発注でも安心です。東京と沖縄に印刷ショップを持っていたり、学割があったり、簡単なものはデータの修正もしてくれるようです。WEB上のテンプレートからデザインを選んで発注できるWEB TO PRINTサービスもあり、大手印刷通販同様、個人から、法人から全方向からの受注を目指しているようなイメージです。
読売新聞が印刷通販をやっていたのには驚きました。それもそのはず、今年の春できたばかりのようで、新聞会社らしく印刷と新聞折込をセットで依頼できます。それも全国45主要新聞に対応とあります。配布したいエリアを地図上で選択し、新聞銘柄を選択すると必要印刷枚数と印刷+折込料金が算出されるASPサービス「オリコネクト」が導入されているようで、新聞折込広告の依頼がとっても身近になった感じです。
グループ会社として紹介されている福岡県の株式会社福永印刷が設立した印刷通販と思われます。大きな工場と設備の写真が掲載され、印刷から出荷まで自社一貫生産とあることから、対応可能なものを商品メニューとしていることが想像でき安心です。社長さんのアメブロもあって親近感が湧きます。
印刷通販の草分け的存在です。滋賀・京都が拠点のようです。仙台に事業所、神田に店舗もあるようで、東京からの発注も安心です。オフセット印刷、オンデマンド印刷、軽オフセット印刷を明確に分けていることから同業者からの発注も多いだろうと想像でき、サイト情報全体を通して懐の深さを感じました。冊子ものでまた比較してみたいと思います。
卒業アルバムで80年の実績がある株式会社マツモトの印刷通販。本社と工場は北九州市、東京、名古屋、福岡に営業所。名刺、ハガキ、チラシ、パンフレットと、最もポピュラーな商業印刷物に絞ったラインナップ。印刷のWAVE同様、環境にやさしい生産活動に取り組む印刷業界のシンボル「クリオネマーク」を取得しているため、CSR活動に力を入れている企業にも適していると思います。
当然ではありますが、印刷通販ごとに価格の調べ方は様々なので、これだけのサイトにもかかわらず、全く同じ条件で正確な価格比較をするにも、かなり神経を遣う必要がありました。
肝心なところで税金表示がバラバラなのも、比較が大変な点です。印刷通販サイトは、税込表示と税抜表示サイトと両方表記サイトで分かれているため、表示された金額だけを単純に比べる訳にはいきません。
問い合わせをしないと、税抜きなのか税込みなのか分からないサイトもありました。税抜き表示サイトの場合、公平を期すために電卓をたたいて消費税(8%)を加算し、1円未満を切り捨てた価格で統一し、この記事では表記させていただきましたのでご了承ください。
来年は消費税10%になるかもしれず、消費税の扱いは大きな違いになると思います。となるとWEB上の価格を表示する印刷通販サイトは、税抜きなのか税込みなのかを判断しながら比較する必要がでてきます。
今回はあくまでも価格だけの比較です。具体的な案件があったのですが、最終的に社内で印刷しました。機会があったら、注文から先の使い勝手や印刷の品質なども比べてみたいと思います。
全てがライバルという訳ではないようで、この中にはラクスルパートナーとなっているところ、ラクスルに広告をだしているところもあります。ラクスルに注文しても、結局他の印刷通販サイトで印刷しているという可能性もあることになります。そんな横のつながりも今回見えてきました。
印刷物の制作は、それぞれのお客様の要望を反映したオーダーメイド製品を作るようなものです。たとえプリプレスの工程がないとしても、システム化していくことが難しい現実があるのですが、それに挑戦しようとしているのが印刷通販だと思います。
今後も様々な角度から、印刷通販の対応力を検証していきたいと思います。次回は冊子印刷の化価格比較をしてみようと思っています。
「●A4サイズDM●マットコート180kg●両面カラー●8,000部」印刷通販価格比較をしてみた!